範囲の経済(Economies of scope、組み合わせの経済)とは、同一企業が異なる複数の事業を経営することが、別々の企業が独立して行うよりもコスト上有利になる現象のことを言います。これは、組み合わせによる相乗効果を指す「シナジー効果」の経済性の面を指した言葉です。
範囲の経済が生じる主な理由は、固定費の分散にあります。たとえば、関連多角化をした場合、共通のプラットフォームや生産設備を利用することでコスト上の優位性を築くことができます。また、物理的な資源の共有だけなく、無形資産の活用によるコスト優位性も考えられます。たとえば非関連多角化の場合でも、データベース・システムや蓄積された情報を共有することで新たに情報投資をするよりもコスト上の優位性を築くことができます。
具体的な組み合わせによるシナジーとして代表的なものは、以下の例を挙げることができます。
- 研究開発のシナジー
- 生産(設備、原材料、技術、ノウハウ)のシナジー
- ノウハウ(生産過程以外でも)のシナジー
- 物流(ロジスティクス)のシナジー
- 販売(チャネル、ワンストップ販売、ブランド、広告、顧客情報)のシナジー
- その他の情報資源のシナジー
- 多角的視点の獲得と、それによる創造性向上と意思決定精度の向上
※最後に挙げる多角的視点は、効率化のメリットではありませんが、有益な効果です。