リコンビナント・イノベーション

リコンビナント・イノベーション

リコンビナント・イノベーション(Recombinant Innovation)は、カリフォルニア大学デイヴィス校のアンドリュー・ハーガドンが主張するイノベーションの本質を指した概念です。

ハーガドンは、イノベーションはすでに存在する異なる分野の要素同士の新たな結合によって引き起こるものだと主張し、それをリコンビナント・イノ ベーションを呼びました。ハーガドンの考えに従えば、「イノベーション(の本質)=リコンビナント・イノベーション」ということになり、リコンビナント・ イノベーションというタイプのイノベーションがあるというわけではありません。

ハーガドンは、プロダクト・イノベーションの例としてエジソンのラボを紹介し、同じ空間で活動する様々な分野の開発と実験に取り組む技術者と、様々な分野での受託経験、そこで交差する様々な分野のナレッジこそが、質・量ともに優れたプロダクトを生み出したことを挙げています。

 

リコンビナント・イノベーション

さらにプロセス・イノベーションの例として、フォード・システムが完成するプロセスを説明し、ヘンリー・フォードによる効率的にシステム化された作 業の仕組みと画期的なな工作機械の発想と実用化は、すでに他の業界分野で用いられていた様々な製造方法を参考にし、それらを統合的に組み合わせた結果だと 述べています。フォードが参考にした他の業界としては、ミシン製造、農業用の刈り取り機、缶詰食品メーカー(ケチャップのハインツやキャンベル・スープな どが代表的)、シカゴの精肉工場などです。

ハーガドンの考えに基づけば、「(独力の才能による)発明」ではなく「独創的な組み換え結合」を目指すことによって、また既存の枠組みの中で考える こと(thinking inside the box)のでも、箱の外で考えること(thinking outside the box)のでもなく、他の複数の箱の中で考えること(thinking in other boxes)によって、イノベーションの達成は飛躍的に向上す考えられます。