競争地位別戦略

競争地位別戦略

F.コトラーは、業界の競争上の地位を4つに分け、それぞれの地位別に採用すべき戦略の定石を示しました。

 

<競争地位別戦略>市場の競争地位と戦略定石

競争地位別戦略

競争地位別戦略

 

<4つの地位とその特徴>

 

【リーダー】

リーダーは、業界シェアNo.1の企業(もしくは、企業の一部としての事業)です。質的経営資源・量的経営資源ともに業界の他社を凌駕します。

リーダーは、最大シェア、最大利潤、名声の拡大、最高のイメージの維持等を戦略課題とし、市場の隅々までをカバーした全方位戦略を展開します。具体的には、周辺需要のさらなる拡大、同質化対応、非価格対応などが採られます。同質化対応とは、他社がすぐれた施策を展開しても、資本と認知度にまさるリーダーが同様の施策を実施すればリーダーが勝つと考えられるからです。

 

【チャレンジャー】

チャレンジャーは、業界上位のシェアを持ちながらも、トップシェアではない企業です。

これらの企業は常にリーダーに挑戦し、シェアNo.1を狙っています。現時点での経営資源は、一般的に、質・量ともにリーダーには及びません。

チャレンジャーは、名声を獲得する前にまずシェアの拡大、トップシェアの獲得を目指します。量的な真っ向勝負ではなかなか勝てないので、何らかの理由によってリーダーができないことややりたがらないことを行います。すなわち、リーダーの行動の制約条件を見つけることが重要となります。

 

【ニッチャー】

ニッチャーは、業界全体のシェアは大きくありませんが、質的経営資源において際立った独自性を有し、特定市場に特化した企業です。

量的な経営資源では勝らなくても、質的にすぐれたノウハウ、技術、ブランド、仕組み等を獲得することによって、特定市場で圧倒的な支持を得ることを目指します。

 

【フォロワー】

フォロワーは、チャレンジャーのようにトップシェアを狙う位置になく、ニッチャーのように特定市場での際立った独自性も有していない企業です。

独自に多大な投資をして新たな研究開発をする等の行為が難しいため、上位企業の模倣によってプロセスをできる限り効率化することを目指します。

その間に独自の経営資源を蓄積し、質的・量的に勝負できる体制を構築します。また、単なる模倣ではなく、オリジナリティのある模倣や、模倣の工夫度合いによっては、それ自体で独自性を得ることができる場合もあり、そうした模倣の工夫の積み重ねが、独自の強みの構築に繋がっていくことは多分にありえます。戦後~高度成長期に飛躍的に成長した日本の製造業の多くが、欧米の先進企業の模倣と工夫の積み重ねから独自の経営資源を蓄積していったと考えられます。