3つの基本戦略は、M.E.ポーターが提唱した5フォース・モデルと並ぶ代表的な戦略フレームワークです。
ポーターによると、5フォース・モデルで市場構成要員の構造を明らかにした後に、3つの基本戦略のうちからひとつを自社の戦略として採用することで競争優位の確立を目指します。
3つの戦略は、縦軸を「競争の範囲(もしくは、ターゲットの幅)が広いか狭いか」、横軸を「競争優位の源泉としての低コストか差別化(独自性)か」として設定した2軸のマトリクスで構成されます。
<3つの基本戦略>
【コスト・リーダーシップ】
ライバルよりも低コストで価値を創造し、低価格で提供する戦略です。
実現のための手立てとしては、「規模の経済」、「経験曲線効果」、「画期的な生産・オペレーションプロセスの確立」などが考えられます。
コスト・リーダーシップを確立できれば、「5つの競争要因」に対処する上で有利になると考えられています。
vs業界のライバル:
vs新規参入者:
vs代替品:
vsサプライヤー:
vs顧客:
【差別化】
ライバルにはない独自性の高い価値を創造し、プレミアム価格で提供します。
ただし、単純で模倣容易な表面的な独自性・差別化では持続的競争優位の確立は難しいので、他社が容易に模倣することが困難な仕組みレベルでの差別化の結果としての製品差別化を目指す必要があります。
【集中】
業界内の特定のセグメントに対象を絞って、コスト・リーダーシップ戦略もしくは差別化戦略を行います。したがって、集中戦略は、「コスト集中」と「差別化集中」のいずれかに分かれます。
3つの基本戦略と呼ばれて入るものの、実際は「コスト・リーダーシップ」か「差別化」かの選択を幅広い市場で戦うのか、特定の限られたセグメントのみで戦うのかの選択と言えます。
ポーターによると、この「コスト・リーダーシップ戦略」と「差別化戦略」は絶対的なトレード・オフ関係にあり、コスト・リーダーシップと差別化を同時追及すると、かえって競争優位は得られないとしています。
その理由としては、
を挙げています。
こうした考えに対するアンチ・テーゼとして、W.チャン・キム&R.モノルニュらの「ブルー・オーシャン戦略」で提唱されている「バリュー・イノベーション」という概念では、差別化に重きを置きつつも低コスト化を同時に実現するための手立てが講じられています。